始まりの日は定かじゃないんですけど…

日記

確か、5年ほど前だったと思う。

母が80歳になったころ。
私の息子が高卒業を迎えて進路の話をしえいる時、
「学校を卒業して就職したら、お母さんをちょっとだけおばあちゃんに貸してね」と母が息子に話したそうです。

父が他界して20余年。山深い町で母は一人暮らしを続けている。

若いころから他の町に住んだ経験はない。
私が東京に住むようになってから、数度上京してきたことがあるが、やはり緑と土が少ない都心は居心地が良くないらしい。
農家の次女として生まれたせいか、野菜栽培が母の趣味。
確かにこの近辺では家庭菜園はできないなぁ。

とは言え、その頃の母は気丈で、体力の衰えも傍目からは感じられなかった。
数年前に白内障の手術をして視力が改善したことにとても喜んでいたし、時折膝が痛いということがあったが、かかりつけのクリニックで痛み止めと湿布が処方される程度だった。

以前からの習慣として、私は毎年、年末年始、GW、お盆に帰省していて、母の衰えにはほとんど気付かなかった。気づかないようにしていたのかもしれない、とも思う。

帰省するたびに、普段は遠出の機会が無い母に「どこに行きたい?」「何をしたい?」と尋ねて、車で1時間ほどの場所にある母の守り本尊をお参りに行ったり、離れた町の大型スーパーやホームセンター、100均ショップで買い物をしたりと、母を連れ出していた。

けれど、新型コロナの影響でほぼ2年間帰省する機会が無くなってしまった。
「不要不急の外出を避けるように」と日本中に外出禁止令的なお達しが出たものだから、お茶飲み友達の来訪・往訪もすっかりなくなってしまったそうだ。

そりゃぁ、他者との交流が無ければ寂しいに違いない。

母の状況を息子に話したら、「会いに行った方がいい。田舎に引っ越すことも考えた方が良いかもしれない」と言われた。

「もし、今、行動しなければ、お母さんは一生後悔するかもしれないよ」とも。

まずは、月1回帰省することにしようと思う。

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